●大手企業の冬季賞与は2.95%減の77万8,996円
経団連が今冬の賞与の最終集計結果を発表し、調査に答えた168社の平均妥結額が1人あたり77万8,996円(前年同期比2.95%減)となり、3年ぶりに前年実績を下回ったことがわかった。経団連は東日本大震災などによる業績の悪化が原因としている。

●労働組合組織率 過去最低の17.9%に
厚生労働省が2012年の「労働組合基礎調査」の結果を発表し、全国の労働組合の推定組織率(6月末時点)が17.9%(前年同期比0.2ポイント減)、労働組合員数が989万2,000人(同6万8,000人減)となり、いずれも過去最低となったことがわかった。

 ●改正高年齢者法対応で「中高年の賃金見直しを」経団連
経団連が、2013年の春季労使交渉に向けて経営側の指針とする「経営労働政策委員会報告」の原案を示し、改正高年齢者雇用安定法の成立に対応して「定年前の賃金制度改革は避けられない」と指摘し、中高年を中心とした現役世代の賃金を抑制する必要性を示した。

●アスベスト訴訟で国の責任を初めて認定
建設現場で石綿(アスベスト)を吸入し健康被害を受けたとして、元建設労働者と遺族ら(337人)が国と建材メーカー(42社)に対し損害賠償(総額約119億円)を求めていた訴訟で、東京地裁は原告170人への総額約10億6,000万円の支払いを命じた。建設労働者の石綿被害について国の責任を認めたのは初めて。

●「高齢者虐待」減少も1万6,000件超
厚生労働省は、2011年度の高齢者に対する虐待の相談・通報件数が1万6,000件を超えたことを発表した。前年度から微減したが、2年連続で1万6,000件を上回った。自治体が虐待であると判断した介護施設職員などによるものは、151件(前年度比6割弱増)で過去最多となった。

●協会けんぽ 無資格者に医療費支出のミス
中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会「協会けんぽ」は、2008年10月から今年6月にかけて、けんぽ側の手続きミスにより、保険料の未納で任意継続の加入資格が消えた後も資格が取り消されていない事例が、全国で1,315人分あったと発表した。このうち384人は無資格期間中に健康保険証を利用し、医療費総額1,943万円が不適切に支出された。けんぽ側は、これらの人に返還を求める方針。

●中退共の退職金 減額へ
厚生労働省は、中小企業退職金共済制度(中退共)が、運用難で深刻な積立て不足に陥っていることから、退職金の減額について検討を始めた。今年度中に、予定運用利回りの引下げと対処策、付加退職金の減額など、具体策について結論を出す方針。
 

●無料検診 原発作業員の3.7%のみ
東京電力福島第一原発で原発事故発生時から今年9月までの間に働いた2万4,118人のうち、国と東電が設けた基準によると、がん検診制度を無料で受けられるのは904人(全体の3.7%)にとどまることがわかった。線量を正しく測れていないおそれがある人が対象外となりかねないことから、東電では相談窓口を設けている。

●生活保護受給者が213万人で最多更新
厚生労働省が生活保護に関する速報値を公表し、2012年8月時点で生活保護を受給している人が213万1,011人(前月比6,342人増)で、過去最多を更新したことがわかった。生活保護費の抑制に向けては、生活費に相当する生活扶助の引下げなどが議論されている。

●非正規労働者にも職業訓練実施へ 厚労省方針
厚生労働省は、非正規労働者の能力開発に関する報告書をまとめ、正社員との待遇格差を縮めるため、再就職を目指す失業者が対象の中心だった公的訓練制度を見直し、正社員として働いたことのない人も制度の対象とする方針を示した。2013年度から予算措置や法整備に取り組む考え。

●新卒採用者数が3年連続増加の見込み
2014年春卒の大学生・大学院生の採用見通し調査(リクルートホールディングス)で、採用者数が前年より「増える」と回答した企業の割合(10.3%)が「減る」と回答した企業の割合(6.9%)を3年連続で上回ったことがわかった。ただ、全体の4分の1以上が「わからない」と回答している。

●年金減額法案、年金生活者支援給付金法案成立
特例措置により2.5%高くなっている年金額を本来水準まで引き下げる国民年金法等改正案が、16日の参院本会議で成立した。これにより2013年10月から2015年4月にかけて3段階で引下げが行われる。年間所得77万円以下の年金受給者に月額最大5,000円を支給する年金生活者支援給付金法案も成立し、2015年10月の実施を目指す。

●「共通番号制度」法案 衆院解散により廃案、先送りに
政府は、国民1人ひとりに番号を割り振り、住所や所得などを政府や自治体がまとめて把握・管理し、社会保障の効率化を進める共通番号(マイナンバー)制度を始める目標を、2015年1月から1年延ばすことを明らかにした。衆議院の解散によって今国会に提出している同法案が時間切れで廃案になる見通しとなったため。

●大卒初任給 前年比1.2%減の平均19万9,600円
厚生労働省が「賃金基本統計調査」の結果を発表し、今年の大卒初任給が平均19万9,600円(前年比1.2%減)だったことがわかった。企業規模別では、千人以上の大企業が20万2,200円(同2.5%減)であったのに対し、10~99人の小企業は19万6,500円(同3.7%増)となり、初任給での格差は縮まった。

●民間企業で働く4人に1人がパワハラ被害
厚生労働省が実施したパワハラに関する調査結果を公表し、企業で働く人の4人に1人(25.3%)が「過去3年間にパワハラを受けたことがある」と回答したことがわかった。また、約7割の企業が相談窓口を設けているものの、窓口に相談した人がほとんどいないこともわかった。同省では、「制度を設けるだけでなく相談しやすい環境づくりが必要」と指摘している。

●雇用保険料率は1%に据え置き
厚生労働省は、2013年度における雇用保険料率を今年度と同じ1.0%(労使折半)に据え置くことを発表した。雇用情勢は厳しいものの財政収支に余裕があるため、引上げは必要ないと判断された。

●新卒者約20万人が就職で「ミスマッチ」
内閣府は、今春卒業した大学生(約56万人)について、卒業者数と同数の約56万人分の正社員求人があったにもかかわらず約20万人が就職していなかったとする推計結果を発表した。約20万人分の求人の多くが中小企業だったため、大企業志向の強い学生との間にミスマッチが生じているようだ。

 ●大企業の今冬賞与 3年ぶりに減少
経団連が大手企業の今冬賞与の第1回集計結果(東証1部上場・従業員500人以上の企業83社が回答)を発表し、平均妥結額が78万1,396円(前年比3.99%減)で3年ぶりに減少したことがわかった。経団連では「今後の景気動向に明るい材料は少なく、来年も厳しい妥結状況になる可能性が高い」としている。

●上場企業の希望退職募集が前年比1.9倍のペースで推移
東京商工リサーチが、上場企業における2012年の希望退職に関する調査結果を発表し、希望退職者数が1万6,779人(今年1月から今月7日までの公表分)にのぼっており、総募集人数がすでに前年(8,623人)の約1.9倍に達していることがわかった。リーマン・ショックの影響が大きかった2009年(2万2,950人)に迫る可能性もある。

●喫煙率が男性・女性ともに増加
厚生労働省が2011年の「国民健康・栄養調査」の結果を発表し、習慣的にたばこを吸っている人の割合は20.1%(前年比0.6ポイント増)となったことがわかった。男性は32.4%(同0.2ポイント増)、女性は9.7%(1.3ポイント増)で、女性の増加が目立った。

●失業者貸付制度で大半が延滞 返済率は30%台
 リーマン・ショック後の失業者対策として2009年秋にスタートした、失業者や低所得者に生活資金を貸し付ける国の制度(総合支援資金貸付)で、2011年度末時点の返済率が30%台にとどまっていることがわかった。利用者の就労が進まず安定した収入が得られていないことが要因。厚生労働省では、来年度から家計相談を行い、返済率を高めたい考え。

●シルバー人材センターで働く高齢者らに健保適用へ
厚生労働省は、シルバー人材センターなどで請負形式により働く高齢者らが作業中に怪我をしたにもかかわらず、労災保険も健康保険も適用されず医療費の自己負担を余儀なくされている問題で、こうしたケースについて健康保険を適用して救済する方針を示した。今後、社会保障審議会で詳細を詰め、来年の通常国会に関連法改正案を提出する考え。
 

●求人倍率が3年2カ月ぶりに悪化 0.81倍に
厚生労働省が9月の有効求人倍率を発表し、0.81倍(前月比0.02ポイント悪化)となったことがわかった。前月比での悪化は3年2カ月ぶりで、特に製造業の新規求人数の落ち込みが目立った。また、総務省が発表した9月の完全失業率は4.2%で、前月比で横ばいだった。

●教育関連や飲食業に就職した大卒者 約半数が3年で離職
厚生労働省は、新規学卒者の離職状況に関する調査結果を発表し、2009年3月に大学を卒業して就職した43万人のうち12万人(約28%)が3年以内に会社を辞めていることがわかった。業種別では「教育、学習支援業」(48.8%)、「宿泊、飲食サービス業」(48.5%)などの離職率が高かった。
●非正規労働者が46万人増(9月24日)
厚生労働省が2012年版「労働経済の分析」(労働経済白書)を発表し、2011年の非正規労働者数が1,802万人(前年比46万人増)となり、雇用者全体の35.1%(同0.7ポイント増)となったことがわかった。同省では、「求職者支援制度を充実させ、正規雇用への道を開く政策が重要」と指摘している。
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